2013年4月22日月曜日

中学生を撮るということ・・・

神保町画廊での展示が終わって一ヶ月余りが過ぎました。今回の個展がきっかけで玄光社から発売されています「フォトテクニックデジタル5月号」のグラビアに作品を記載させて頂くという、ありがたい縁に恵まれました。誌面には個展やサイト未発表の2枚を含む合計7枚の作品で構成された「はつ恋・フォトテクニックデジタルEDITION」として掲載されています。そこでせっかくなので、ちょっとした撮影で感じたことを綴ってみます。

今回雑誌にはモデルとなってくれた子が4人出演しているのですが、そのうちの二人は撮影当時は中学生でした。グラビアコーナー前半の、チェックのスカートを着用している二人がそうです。二人ともハーフの子なので作品では大人びて見えますが、会話をすると本当にいたいけな少女でした。考えてみるとジブリアニメなど、中学生位の少女がヒロインとして登場する作品は沢山あります。エヴァなどでも14歳がキーワードになり、文学でも少女が大人に成長してゆく過程での葛藤を画いた多くの著書が存在します。まさに様々なアーティストを魅了する思春期の少女の姿は、永遠のトキメキであり、絶対的なモチーフでもあります。しかし、こと写真となると中学生を被写体にすることは、残念ですが今の世の中ではとても難しいことになってしまいました。僕が制服少女を撮り始めた18年位前はストリートでも声を掛けて撮らせてもらったりしましたが、今ではさすがに躊躇してしまいます。当時は今より時代がおおらかでしたが、それでも70年代に活躍された「青山静男」さんのようなスナップを撮る事は難しいかったでしょう、それだけ彼の作品は今となっては国宝級に貴重なのです。では中学生を撮るにはどうすればよいのでしょうか?これはもう両親にお願いすることです。言ってしまえば極論ですが、それが当たり前です。僕はそうして何人か撮影さてもらいました。こんな私が言うのはとても烏滸がましいのですが、ポートレイト撮影に必要なスキルは、8割が相手を思いやるコミニュケーション能力だと信じています。カメラの性能や技術的なスキルはそれほど重要ではありません。ですが必ずしも話し上手である必要もありません。大切なのは誠意です。謙虚に誠意を持って接すれば必ず何かしら応えてくれます。これは写真に限ったことではないのですが、真摯に被写体やモチーフと向き合う姿勢が、その人の表現の個性や作風になると信じています。

フォトテクニックデジタル5月号はこちら









2013年4月5日金曜日

女子高の図書室で・・・

この度は、武井の個展「はつ恋」へ沢山の方がお越し頂きまして、本当にありがとうございました。期間中は熱心にいろいろと僕の作品について質問してくれたり、写真や創作の事について熱く語ったりと、貴重な時間を過ごさせて頂きました。すべての方とお話できないのは本当に残念でしたが、せっかくなので、このブログでいくつかお客さんと話したエピソードを紹介させてください。

今回の僕の展示のDMを手に取られた方には分かりやすいですが、そのDMに写っている場所は言うまでもなく図書室です。実はこの図書室は、本物の女子高の図書室なのです。現役生を廃校などではなく、実際に稼動してる女子高の内部を使って撮影することは、創作をする上でずっと自身の念願でした。どうしても僕は本物のシチュエーションに拘りたかったのです。ある時にダメもとで、某女子高へ電話で問い合わせてみることにしました。とにかく僕の作品をみて欲しいということと、決して学校のマイナスイメージになることは無い、ということを熱心に告げると、担当の先生からは一度会って話しましょう!と、思ってもいなかった返答がありました。とにかく説得できるチャンスを貰えた嬉しさを胸に、ポートフォリオを持参して、実際に女子高を訪問した時のドキドキ感は今でも忘れません。幸いその担当の先生は僕の作品を気に入ってくれて、生徒が居ない時間帯で、建物内部の一部だけだったら撮影をしてもよいという許可をくれました。このブログで校名を載せることはできませんが、寛大な先生に本当感謝です。また、ちょうどその時は文化祭の時期で、撮影前のロケハンとして、文化祭にも招待してくれました(普通は学校関係者からのチケットが無いと入れない)文化祭で内部を確認して準備は万端。撮影当日は学校側から細かく指示されることもなく、結構自由に撮影ができ、また、校舎内に残っていた数人の生徒さんからは「こんにちは」と、気持ちの良い挨拶が飛んで来ました。些細なことですが、その学校の教育レベルの高さが伺えて気分も上々!更に創作に熱が入ります。僕はなるべく迷惑を掛けないようにと、撮影場所に関して多くリクエストを出さなかったのですが、そんな僕をみて逆に先生が一言提案してくれました・・・「武井さん!学校らしい場所といえば図書室や音楽室でしょう!」と、それは気がつかなかった!さすが毎日学校で仕事をしている教員です。早速、図書室へ場所を移して撮影開始!やはり区の図書館とは違います。当たり前ですが、そこはまぎれもない学校の一部であり、生徒が学ぶ場所でもあります。その雰囲気がプンプンしていて興奮しました。創作熱も最高潮!音楽室もまさにそうです。本物の場所は空気感が違います・・・こうしてDMに使われた1枚が誕生しました。

はじめに実際の女子高で撮影したいと思ったのは自分自身でしたが、撮影中に担当の先生が提案してくれなければ、図書室での撮影は成立しませんでした。僕の熱意に先生が応えてくれたのかどうかわかりませんが、一心不乱に創作していると他者とシンクロする瞬間があります。もちろんモデルさんともそうですが、そんな奇跡の一瞬があるからこそ、思いもよらなかった作品が生まれるのだと僕は信じています。そんなチャンスをくれた学校の先生には、今でも本当に感謝しています。